俺は時代遅れの老人か

 私は最近の若者文化も大概のことは分かっているつもりだ。特にファッションについては私も業界に長く携わってきたこともあり、今の若者の自由で斬新多角的な発想に感心している。
 しかしどうしても理解できないのは漫才などお笑いの世界である。特にテレビに登場してくる漫才、コント等は私には全く可笑しくない。なぜ若者が大笑いするのか理解できない。勿論これは面白い芸人だと思う人もたまにはいる。しかし大半が全く可笑しくないし、相方の頭をぶったり、お客を馬鹿にしたり、芸人とも思えない振る舞いだ。
 身近の若者に今のコントは可笑しいか?と聞くと、可笑しい、面白い、と言う。「何処が」と聞くと若者は全部と答える。何であんなコントが可笑しいのか、テレビ局も何であんなつまらないコントを取り上げたりするのだ、と怒ってもしょうがない。可笑しい、とか面白いということは個人の感性の問題だから私の感性が今風でないということなのだろうが、笑いという分野は千年も前から変りはないと私は思っている。
 そこで、なぜこんなに若者と感性のずれがあるのだろうかと謙虚に自分を分析してみると、気が付いた事がある。若者と決定的に違うところは、私は漫画本はほとんど読まない。読んだのは「サザエさん」「おんぼろ人生」ぐらいだ。今話題のコミックと言われる本は全く読んだことはない。漫画は面白いよと言われても読む気がしないのだからしょうがない。
 電車の中で頭の禿げた中年の親父が分厚い漫画本に読み入っている光景に出会い面食らう事がある。私とはそれほど歳は離れていないと思うのだが驚きである。私には漫画本を人前で読むこと自体恥ずかしく思える。私には漫画から受ける笑いの感性が無いことに気が付いた。最近のコントの面白さの評価の違いは、分厚い漫画本を人前で読める人と私との感性の違いそのものだろう、つまり私は現代不可欠の文化を知らない老人に成ってしまったらしい。
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