疑惑の審判判定に思う

 ハンドボールのオリンピック・アジア予選の判定は、ビデオで見る限り酷いものだった。日本と韓国の証拠を添えた抗議に世界連盟は抗議を認め再試合を指示したが、中東を中心とする勢力が指導権を握るアジア連盟はその指示に従わず再試合を拒否した。そのアジア連盟の会議には日本、韓国、はよ呼ばれなかった。
 日本の常識から考えると全く酷い話である。しかし、この事を我々のレスリング界に置き換えてみると、世界大会ではそんなことは日常茶飯事である。最近では浜口京子の世界選手権手やオリンピックでの不当判定を始め、数えたらきりがない。日本女子レスリングの圧倒的な強さに、時には審判を含め世界が敵になる。五分五分の判定ならまず日本のポイントにはならない。
 しかし、日本レスリングチームはそんなことは承知の上である。我々が選手だった50年前も現在も、日本では全く考えられない不当判定は発生してるのである。いくら不当判定に抗議しても試合が進行して行き、試合が終わってしまったらどうにもならないのだ。一度勝敗のついた試合を覆して再試合させることは並大抵のことではなく、それはまず不可能であらう。
 試合の判定というのは、見る位置に依って見解が大きく分かれ、それをどちらかに判定するのが審判員である。国際競技の審判員は厳しい講習を何度も受けた選ばれた人であり、その判定には権威がある。勿論下手な審判や意識的に片方に味方するような不届きな審判員もいる。しかし、それが世界なのだ。
 勝つためなら見つからないように反則もする、というのが世界の戦いの常識である。サッカーではシャツを掴むのは反則である。しかし、世界の試合では多く選手がシャツを掴んでいるが、レフリーはほとんど見逃している。今回のハンドボール世界連盟の再試合指示は、どの様な結果になるか分からないが、一度勝敗のついた試合を無効とするのなら、アジア連盟の面子もあり、それ自体かなり無理があるようにも思える。

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