レスリング男子の躍進

 アジア大会の男子選手の奮闘には目を見張るものがあった。初戦のグレコローマン55キロ長谷川恒平の優勝は実に価値ある優勝であった。世界5回制覇のイランのスーリアンを接戦で下し日本選手団に勢いをつけた。大会初日は松本、藤村、共にメダルを獲得し男子レスリング合計9個獲得の原動力となった。
 フリー66キロの米満達弘の優勝も圧巻であった。世界王者イランのタガビに一歩も引かず実に立派な戦いぶりであった。アジア大会フリースタイル優勝は実に16年ぶりだそうである。
 男子レスリングの復活躍進の要因は幾つもあるが、まずコーチ陣の若返りにあるだろう。フリー田名部、小平、グレコローマン、豊田、元木、松本、いずれも選手と同等にスパーリングが出来る実力を持っているコーチである。世界で勝利を得るには最後の競り合いに勝たねばならない。競り合いに勝つにはぎりぎりまで追い込んだスパーリング以外の練習はない。若手コーチ陣が相手になった火の出るようなスパーリングの効果が出たのだろう。
 また、強敵を求めての海外遠征も大きな要因だ。各地で世界の強豪と同等に戦ったことが選手達に大きな自信を持たせた。
 そして選手・コーチ一丸となったチームの団結力も大きな要因だ。レスリングは個人戦ではあるがチーム力団結力が大きな力を生むことは、過去のオリンピック、世界大会で証明済みである。
 女子が些か期待はずれだったのは、外国遠征の不足、激しいスパーリングの不足があったのではないかと私は思っている。
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