世界選手権の感想 グレコローマンスタイル

 まず特筆すべきは笹本選手の銀メダルです。実に大変な戦いでした。午前中3時間でいずれも激戦の5回戦を戦い抜いたのです。今のルールは過酷です。準決勝までは午前中に終わらせる試合進行なので、試合と試合の間隔が2〜30分になり、体力の回復はもとより、精神の集中も出来ないまま次の試合に臨む状態です。特に準決勝で対戦した韓国のジョン選手はアテネオリンピックチャンピオンであり、最後の最後まで手に汗握る激戦でした。この5試合を制した笹本選手の体力、精神力は大したものでした。決勝は4時間後の午後7時からで、決勝に進出した笹本、ベジナーゼ両選手とも気合い充分で、激しい攻防の結果、残り10秒までリードしていた笹本は、最後に掴みかけた金メダルを逸していまいました。誠に残念ではありましたが、全6戦笹本選手の全力での戦いぶりには、感激し、日本チーム役員として心より感謝しました。苦節12年、3度目のオリンピックで笹本のメダルが現実のものとなりそうです。笹本言うこと無し。

 96キロ級の加藤選手の活躍も予想を超えるもので、全くうれしい誤算です。3試合を勝ち、準決勝に勝ち上がるとは誰も予想しませんでした。しかも2試合はフォール勝ち、特に3戦目の強豪キューバのリマ選手をフォールした首投げは、ここ数年日本の試合では見たことのない鮮やかな首投げでした。かつての日本選手の得意技の一つであった首投げが96キロ級の外人との対戦で見られるとは全く驚きでした。リマ選手は加藤選手をなめており、試合前握手する際、薄ら笑いでウインクをしたそうです。加藤選手はその時点で「この野郎!」と激しく闘志を燃やし、見事フォールに仕留めたのです。全く痛快でした。準決勝のラトビア戦も3ラウンドにもつれ込む接戦でしたが、残念ながら敗れ結果4位でした。しかし、96キロ級としてオリンピックで入賞が期待できる堂々のオリンピック資格奪取でした。
加藤日本の重量級に希望を与えた功績は大きいぞ!
他の選手については奮起を期待するのみ。
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