勝つ試合を組み立てる -A君の場合-

 私は次の試合の相手には過去一回負けている。今度こそ勝つ為の戦略を立てて見よう。
 まず、前に負けた試合を振り返って見よう。1ラウンドはノーポイント、トスが相手に出て左片足を取られポイントを取られ負け。2ラウンドは始めから攻撃に出たが、タックルに行ったところを、がぶられてバックを取られた。ラストまで追い込んだが逃げ切られてしまった。僅かな差だが自分は1ポイントも取れなかった。差はほとんどない相手だと思うのだが…

■A君が勝つ為の戦略
 今回もただ漠然とマットに上がったのでは負けた試合とほとんど変わらないであろう。相手との実力の差ほとんどない、とA君は思っているが、試合運び、勝つ意識において差があるのではないか。それは勝敗を決める大きな要素だ。
 勝つ為にやるべき事
相手の特徴を研究して先取点を取るための技を決めておくこと。自分の得意技で攻めることが一番だが、幾ら得意技でも、相手の構えや受け等から掛からないと判断したら、別の技を考えるべきである。
 試合開始1分以内に必ずポイントを取ること
 これが必勝の秘訣だ。技は試合開始直後が一番かかりやすい。お互い五分五分で向かい合ったら、なかなか技は決るものではない。
 開始直後にかけるには、相手がまだトップギアに入る前に自分が既にトップに入っていることが重要である。これはひとえに心構えと集中力の問題である。日常の練習でまとを絞り、気迫を込めた練習をすれば、試合でも必ず先制攻撃は成功する。先取ポイントは相手が誰であっても必ず取れる。これさえ出来れば勝つ為の試合の構成は出来あがったと言える。
 実力互角の場合、先行されポイントを挽回しようと攻める相手は必ず無理をする。そこを突けば攻撃のパターンは広がり、更にポイントゲットのチャンスは増す。先行した選手が自信を持って強気に戦えば守りきれるはずだ。
 勝つ為の試合のストーリーを始めから終わりまでを脳に叩き込み、それを完遂すれば勝利を得ることが出来る。漠然とマットに上がり、ただ一生懸命戦っているだけでは、レスリングは勝てないのである。

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