酷いよ保険屋さん

 明治安田生命の保険金不当不払いほど酷い話はない。明治生命、安田生命といえば日本を代表する財閥が、信用だけを資本に一般庶民からお金を集め、他の保険会社と共に戦後日本経済の一翼を担ってきた。庶民は三井、三菱、住友、安田など、これらの財閥の名前だけで信用して月々の支払いの代わりに証書と称する紙だけを受け取り、何か起きたときの安心を買っていたのである。それなのに本来払うべきものに難癖をつけ、出来るだけ減額し、時には払うべきものを全然払わなかったケースもあったという。
 保険屋は全く酷い奴らだ。紳士面した詐欺師である。何故、私がこれほど酷く言うかというと、私も保険屋に大変嫌な思いをしたことがあるからだ。
 7年ほど前、私は突然の心臓発作に見舞われ、東京女子医大で心臓バイバス手術を受け、一時は危険な状態であったのだが幸運にもこの世に生還した。その際の入院、手術費を保険会社がなかなか支払わなかったのだ。わたし当時3つの生命保険に入っていたが、そのうちの2社は何回も何回も調査に訪れ、病院にも再三調査に行ったようだ。何故そんなことになったかというと、私は発作の半年前に保険を新たなものに入り直していたからだ、これは当時社長をしていた会社が景気が良く、保険屋の薦めで高額な保険に入り直したのである。この件は全く保険屋主導であり、私は心臓が悪いなどはまったく気が付かなかったのである。それが保険屋の審査に引っかかり、根ほり葉ほり聞かれ、犯罪者扱いだった。
 最後には私が怒って、保険会社本社に出かけ、30年前に私を保険に勧誘した大学の同級生に面会を求めた。同級生は会社幹部になっており、私の訴えを快く聞き、あっという間に満額支払いとなった。しかし、私は友人に礼を言う気にはなれなかったので、私の支払いの担当を呼んでくれるように友人に頼んだのだが、「今泉君、我が社にはそれぞれ職務があり今回のようなことも起りうるんだ、今回のケースは確かに君の言う通りであり、会社の対応のまずさを私からお詫びする。」とのことであった、それでも気持ちの収まらない私は、友人の役員室怒鳴った。「保険屋は金を払うのが仕事か払わないのが仕事か」と。
 
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