一人連句
       

月光は蒼きかぎりの廻り道

金木犀の角を曲がりぬ

コスモスは秋も終わるに揺れていて

柿食う猿のけつは真っ赤赤

コオロギやサッチモの歌聞きし夜

何処か懐かし進駐軍の兵

襟を立て木枯らしの街急ぎ足

立ち食い蕎麦の味はなかなか

茶の花は和菓子に似たり楚々として

塾帰りの仔いつも半袖

大鳥居賑わいの人去年今年

因業おやじお年玉配る

妹の雑煮の味は母に似て

喪中つきて年賀失礼

たどたどし初音に足を偲ばせて

登校拒否の子休むも又良し

花ちるや河のぼる船連なりて

悠々として緋鯉一匹

11月19日     
今泉 雄策     


戻る