大損をした中国

 サッカーアジアカップの混乱の様子は、日本はもとより世界中に報道されてしまった。スポーツの試合で負けたからといって、暴れたり、相手国の国旗を焼くなどという蛮行は、誰が見たって言い訳が出来ない醜態である、オリンピックの開催などとうてい無理と言われても仕方がない。それに引き替え日本チームは華奢とも思える選手達が冷静に凛々しく、不利な判定にもジェントルマンとして従い、その勝負強と逞しさを世界中に示し、まさに千両役者であった。中国のファンの蛮行は結果として憎き日本選手の引き立て役となり、中国の言い訳の出来ない礼節の無さを露呈してしまった。中国首脳は今回の事件を何とか沈静させ大した問題ではなかったし、そもそもかっての日本の侵略に事の発端があると言いたいところだろが、今回の事件はスポーツの場で起きたものであり、なんと言い訳をしてもとうてい無理である。中国の負った痛手はそうとう深刻なもとであったに違いない。
 「中国は一党独裁の共産国家である」 この事実を、経済の発展や上海等大都市の近代化などを見て、日本人は忘れてしまったのではないのか、十五億の民のうち、潤っているのは数千万人だけだという現実をもう一度考えて見る必要がある。報道は全て政府の検閲を受け、政府に都合の悪い真実は国民に伝えられていないという事実をもう一度考えてみよう。
 しかし多くの在日中国人達は今回の事件に心を痛めている。
 「幾ら政府が報道を統制してもインターネットが世界の情報を中国全土に伝えます。中国の若い指導者達は本当の意味の自由化を十分承知しております。中国人は利口で柔軟性のある国民です、日本との関係を悪くしては何の得にもならないことを十分認識しております。中国は立派にオリンピックを成功させて見せます」と友人の中国人は言っていた。
 
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