女性の時代

 今世紀は女性の時代と言われているが、アテネオリンピック日本選手団にはっきりとその兆候が見えて来た。今度の日本選手団は間違いなく女子が全選手の半数を超える。団体競技では、ホッケー、バレー、サッカー、バスケットボール、ソフトボール、シンクロナイドスイミングが激戦を勝ち抜いて五輪代表権を得た。個人競技でも我がレスリングを始め 、柔道、マラソン等、女性上位である。一般社会においても女子の進出はめざましく、今までは男性の職業と思われた分野でも充分に力を発揮している。
 明治以後の教育で女性はかくあるべきと育てられ、男子はもとより女性自身もかくあるべきと思ってきたのだと思う。しかし、女性本来の能力は全て男性に劣るところはなく、腕力の弱い分はねばり強さで補うなど、トータルでは同等であることが徐々に証明されてきた。
 私が女子のレスリングにたずさわって二十年、強く認識したことは女性は男より攻撃的であることだった。勝っていても更に攻め込む選手が多く、ラスト三十秒で勝っているのだから無理するなと言っても、攻めまくって逆転された選手も多い。女性は負けていても最後まで諦め無いので、女子の試合はそれだけ面白く逆転の可能性を常に残している。
 しかし、これだけ女子選手が台頭してきたのに、マラソンの小出監督を始め、指導者がほとんど男子と言うことも日本の特徴的なことである。女子はコーチには不向きなのか、それともまだ時間的にそこまで至っていないのか、いずれにしろ男子コーチが女子選手をしごき鍛え上げているのも現実である。世の中の仕組みが全て男性中心に出来ている日本においては、致し方ない事なのかも知れないが、フィギュアスケートやシンクロナイズスイミング、ソフトボールなどの様にバランス感覚があり、公平な判断の出来る女性指導者が育ってこそ本当の女性の時代と言えよう。
 
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