日本本来の心遣い

先日ある大物政治家に不義理をした私の後輩に付き添って、お詫びに言ったのだが、先生の苦言を聞いても本人は全く理解して居らず、ピントのはずれた返事ばかりしているので嫌になってしまった。先生は、「今泉君こいつはちっとも反省しておらんではないか、こんな馬鹿つれてくるなよ。」と言って部屋を出ていってしまった。後で何故先生が怒っているのかを説明しても、後輩は、義理とか、世話になった、とか言うことはあまり理解できなかったようである。本当に嫌になってしまう、世も末か。
話はこんなことである。
後輩の息子が来年就職なので、先生に推薦をして貰い一流会社に就職が内定した。此処までは万々歳なのだが、それからがいけない、息子は僕は試験は完璧に出来たし、面接でも君のような人材を求めていたと人事部長に言われた。お父さん余計なことをしないでほしい、人生の出発に際し人に力を借りたくはない。と母親と二人で父親をせめたそうである。それはそれでよいのだが、先生から世話になった人にお礼に行けよと言われた時、馬鹿後輩は、試験は完璧に出来たと息子が言っております。と先生に言ってしまったのである。先生は烈火のごとく怒り、今泉君、人にものを頼んだときは、どんなに成績が良かったとしても、先生のお口添えで本来は入れないところに入れていただきました。と言うのが日本人の礼儀だろう。そうすれば俺だって、いや大したこともしてないさ、貴殿の息子は良く試験も出来たのだろう。頼んだ俺も鼻が高いよ。と言うぐあいにお互い気持ちよく就職を祝えるというものだろう。日本人は本来この様な心使いの中で、良好なこ人間関係を築いて来たのだよ。君二度とあんな馬鹿は連れてくるなよ。先生の怒りは当分収まりそうもなさそうだ。
 
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