米国人と日本人の違い

 「米国ではほとんどいじめがない。」レスリングの世界選手権で米国に行ったとき、三十年も米国で暮らす後輩から聞いた話だ。理由は簡単だ、各家庭にピストルがあるからだそうだ。学校で理由もなくいじめられた子が自宅からピストルを持ち出し、撃って相手に大けがをさせた事件に対し、裁判では無罪の判決がでたそうだ。ニューヨークの車の渋滞は東京と変わりない、その渋滞の中でクラクションを鳴らす人がかなりある。これも裁判の結果が大きく影響しているそうだ。後ろからクラクションを鳴らされて、怒って車から降りでおどした男が、おどした相手からピストルで撃ち殺された事件で、裁判所は加害者に正当防衛を認め無罪の判決を出した。米国の自分の事は自分で守る、その為に時には暴力すらも認めるという米国の考え方を日本人は理解できるのだろうか。後輩は私に言った。ピストルでも包丁でも殺そうと思えば人は殺せますよ。「ピストルを持つのが悪く、包丁を持つのは問題ない。」という日本の理屈は米国では通用しませんね。要は人間の問題ですよ。米国籍を持つ後輩はこう言った。
 日本への帰り、デトロイトに寄って飛行機の便を取ったが、国内便が遅れ成田行きの飛行機に乗り遅れた。この時の米国乗客の態度と航空会社職員の対応が日本とは違い、実に勉強になった。国際便に乗り遅れた乗客に対応する職員は一人だけで乗り遅れた乗客は長い列を作って待っていた。職員は日本では考えられない遅さで他の便を捜し、謝るような態度は決してしない。乗客は怒りもせず、ただねばり強く他の便で成田に行く方法を捜してもらっている。日本人的に言えば「お前の会社の便が遅れて乗り遅れたのだぞ。何だその対応は」ということになるのだが、米国人はどの人もどの人も決して怒らず、「なんとか良い方法を捜してください」と職員に頼み、便が見つかると、「サンキューベリーマッチ」と言って立ち去ってゆく。怒ったってしょうがない、現状で一番良い方法を捜してもらおうという考えなのだ。米国人はマナーが良いな、日本だったらみっともなく怒鳴りまくって居るだろうなと思ってしまった。更に驚いたのは対応していた職員が時間だからといなくなってしまったことだ。それでも乗客は苦笑いしながら次の職員が来るまで待っていた。

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