裏切り
 
 世界の歴史、日本の歴史の中で裏切りによって時の権力が転覆された例は枚挙にいとまがない。時の権力を支えていた人達の中から、何らかの理由でその権力に不満を抱き、その権力を転覆させる目的で裏切りった場合、権力も大きなダメージを受ける。最近の、政界、行政、経済界で起きている様々な事件は内部の告発によると思われるものが多い。
 内部告発が裏切りかどうかは意見の分かれるところだが、少なくとも権力者にとっては裏切りである。自民党の議員も、社民党の議員も、秘書給与詐欺事件は内部からの告発により発覚した。原発の事故隠しも、狂牛病対策費詐欺も、内部からの告発と言われている。勿論、正義感からの告発であろうが、いきなりマスコミに秘密を流すのではなく、他に手が無ったのかと私は思うが、権力者が聞く耳を持たなかったのが事実だろう。
 最近告発された多くの組織はよほど腐っていたのだろう。権力を過信していたのであろう。絶対の権力を握っていたと思われた権力者はもろくも去っていった。今後この様な告発は更に多く起きるだろう。各組織は内部の引き締めと同時に、不満のはけ口、不正の告発に組織として対応するシステムを作る必要があるたろう。企業の場合、秘密は良きにつけ、悪しきにつけ、ある。絶対知られたくない秘密を外部に漏らされたり、資金的な秘密を暴露されては、企業はあっという間に崩壊してしまう。組織にとって裏切りは本当に怖いものである。勿論、告発などされない体質の組織にすればよいのだが、きれい事だけですまされないのが組織だ。裏切り者が出ない環境作りに努め、万一そのような事態が発生したときに対応できる備えをしておくことこそが危機管理だと思う。
 日本を代表する企業である新日鐵やブリジストンの大事故は、起きるはずのない事故だという。偶然のことだと思うが、リストラ、合理化が当たり前の今の時代、なんとなく気になる出来事だ。
 
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