頼まれ事
 
 先日、ある大手の会社の役員から、甥ごさんの就職を頼まれた。全く会ったこともない大学生で、いくら優秀だと言われても、見ず知らずの人を紹介するわけにはいかない。体よく断ったが、こんな話はよくあることだろう。
 しかし、しばらくして段々と腹が立ってきた。縁もゆかりもない人を電話で頼むとは非常識この上ないのに、「先輩冷たいですね」などと言われたからだ。自分は大手会社の役員なのだから、自分の会社に入れればいいじゃないか、まだ思い出すと腹が納まらない。頼み事をする人というのは、勝手な理由で頼んでおいて、断るとこっちが悪いような言い方をする。
 元警視庁に勤めていた私の友人は、交通違反のもみ消しをを頼まれて、断ったら嫌みを言われ、「どっちが悪いのだ」と言ってカンカンに怒っていた事を思い出す。
 少年レスリング連盟会長の岩名秀樹さんは県会議員を30年しているが、それだけ政治家をしていると、中にはとんでもない頼み事をしてくる人もいるそうだ。教員免許を持たない息子を何とか教員にしてほしいと頼んでくる母親、葬式の焼場の順番を前に出してほしいと言って来る人…。あまりのデタラメぶりに、本当に嫌になってしまうという。
 しかし交通違反について言えば、例の新潟県警の交通違反もみ消し不祥事が世間を騒がせて以降、徐々にではあるがよくなって来ているらしい。はっきりと「そうゆうことはいっさい出来ません」と断れるような状況になったからだ。あの事件があってから、当然の事ながら、「交通違反はいっさい勘弁出来ない」という警察の強い態度を貫かせ、議員を始め警察官の立場を楽くにしたとはまことに皮肉である。勉強の出来ない子は出来なくてもはいれる学校に入ればよいのだし、どうしても駄目なら学校に行かなくても良いだろう。就職できない子は日雇いでも身体を使った力仕事をすればよいのだ。交通違反をしたものは罰金を払い謹慎すればいいのであって、今の時代は頼んで特別な扱いをしてもらえるような時代ではなくなったことを認識すべきだ。
 
戻る