役人の下手なお詫び

 国宝の万葉集を書き写した巻物を国立博物館が取り扱い不備で損傷したと記者会見した。そのお詫び会見で「修復には問題はないと言いながら」大変申し訳ないと言って詫びた。
 お詫びの記者会見で、「すでに役所は辞めた者の犯罪とはいえ…」とか、「下請け業者のミスとはいえ」という言い訳をしながらのお詫びするのをよくみるが、実に聞き苦しい。詫びるなら何も言わずに詫びたらいい。つまらぬ事を言うから幾ら幹部が列んで頭を下げても、お詫びの気持ちが国民に伝わってこない。事件を犯し国民に詫びる場合、役所の失態の対応は本当に下手だ。
 「何々だったとはいえ」という言い廻しは、少しでもそのミスを軽く表現しよう、責任を回避しようという意図が感じられる。しかし、聞く側すると実に聞き苦しく腹だたしいばかりだ。
 政治家は勿論、役所、大手企業等は責任者のつまらぬ発言から国民に更に不信感を持たせてしまうことを認識すべきで、もっと危機管理の学習をしなければならない。雪印の社長の「寝てないんだ」発言、東横インホテル社長の「ちょっとぐらい」発言、イラクで人質になった若者の発言、耐震強度偽装マンションの被害者の怒りの発言、国民の心が言葉によって右にも左にも揺れることをまざまざと見せた事件だった。
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