林真さんの話

 林真さんは私たちの選手時代でった1960年代に八田会長を支える早大出の協会の幹部でしたが、我々他の大学での選手にもよく声を掛けてくれました。特に私には結婚相手を世話してくれました事がありました。
 「君ね」と独特のアクセントのある言い廻しでゆったりと話し出し、何かその場の雰囲気とピントが外れた様な話題を話し出すのですが、終わってみるとなかなか面白い話で、選手達は大笑いしたり、真剣に目を輝かせたりしました。
 そんな話の中で今でも鮮明に覚えているのは、特攻隊員となった若者達の出陣前夜の話でした。「君ね、隊員は悶え苦しんで出陣の朝を迎えるのだよ。飛行機が不調にならないかな、終戦にならないかな、口には出さなくともみんなそう思いなから、何かにすがって闘う意味を見つけ、父母のため、兄弟のため、国のため、と自分を納得させて出陣していったのだよ。」
 早稲田大学学生から学徒出陣し特攻隊の班長をしたという林真さんの話は心に残る話でした。林真さん、風間栄一さん(早大)、神田幸二さん(拓大)、石井庄八さん(中大)、村田恒太郎(明大)等は第二次世界大戦に出征し幸運にも復員され、レスリング選手として活躍され、戦後の協会運営に寄与された方々です。
 
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