ジャパン・クイーンズ・カップを観戦して

 新ルールによるジャパン・クイーンズ・カップ大会が3月25日行われました。私は全試合をくまなく見て新ルール対策を考えました。
 新ルールでは今まで以上に先制点が試合を左右することが明白です。今回の試合では先制点を取った選手がほとんど試合を征しました。「強い者は強い」こう言ってしまえば簡単ですが、圧倒的な強さで優勝した、吉田以下、アテネ組は誰よりも充分にルールを研究しており、ただ強かっただけでなく、1ラウンド2分間の試合の組み立てが実に巧みで、ますます挑戦者達に差を付けたように見受けました。アテネ組は北京オリンピックに向けての第一歩を踏み出したと言えましょう。
 ただ中には実力的に劣ると思える相手に対し、先制得点を焦るあまり、狙っている技が次々にかわされ、守りに徹した相手に敗れた例もありました。、完全にタックルが決まったのに、ポイントゲットを焦るあまり、無理に相手を場外に押し出し安易にポイントを狙った結果、逆転された試合も数試合ありました。試合時間が短くなればなるほど焦りや無理は禁物です。1分以内でポイントを取る技を試合前からしっかり決めておき、リードした場合、リードされた場合の試合運びをなんべんも試合前にイメージすることが必要です。世界で勝つためには選手諸君は格闘技の基本をもう一度確認して、確実にポイントをゲットする試合を心がけなくてはならないでしょう。
 格闘競技の原理は力の流れです。水が低きに流れる如く技を掛けなければ、その技は必ず躓きます。どんな激しい試合でも、どんな難しいルールになろうとも、原理を逸脱した技は決まらないのです。レスリングは勿論、柔道等格闘技には力の流れと梃子の応用による科学的な原理があります。スポーツ化した格闘技が、ルールによって切実な激しい試合になればなるほど、格闘技本来の技の原理と心の鍛錬の修得が重要になるでしょう。原理に即し鮮やかに決まった技は、舞うが如く、流るる如く、美しいのです。
 
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