アテネオリンピック総括「女子」
 
 出発前から金メダルを3個取るより、4人全員メダル獲得の方が価値があると私は思っていたがそのようになった。試合結果は最高である、本当に良くやったぞ女子4選手。

◇伊調千春選手 少年のような凛々しさで試合に臨む姿は、白虎隊の若武者のようであった。高い目標を掲げ、全てのプレッシャーを自らコントロール姿は日本選手中一番であった。試合は不運にも決勝で敗れたが、素晴らしい銀メダルである。
 試合後「攻めなければ負けと分かっていました、しかし相手の力が強く返されるのが怖く、攻め切れませんでした。私に攻める勇気がたりませんでした」とコメントした。男子選手にも言えない潔いコメントには私も目頭が熱くなった。

◇吉田沙保里選手 勝つべくして勝った。フランス・ゴメス戦は見ているものはハラハラしたが、本人は自信満々、必ず逆転できると思っていたようだ。本当に強い、期待通りの戦いぶりで、東京オリンピックの渡辺長武を思い出させる強さだった。北京でも金メダルを取ると宣言している、頼もしい限りの日本レスリング協会の宝だ。

◇伊調馨選手 いつもながら周りを心配させての優勝、彼女らしい勝ち方だ。20歳とは思えない落ち着きぶり、「必ず逆転できる」の信念を持ち続けた結果の金メダル、本当に素晴らしい選手が育ったものだ。少年レスリング連盟の成果とも言える。当然、北京まで選手生活を続けるであろう。体重を増やし更なる努力を重ね、歴史に残るのチャンピオンになって欲しい。

◇浜口京子選手 銅メタルに終わったが彼女の結果が金メダル以上に評価を受けたのは、3位決定戦、そして表彰式の彼女の態度に依るところが大きい。不運な判定に決勝進出を阻まれたが、臆すことなく3位決定戦では堂々と力の限り戦い、こぼれんばかりの笑顔で表彰台に立った姿は日本選手団旗手としての誇りがみなぎっていた。父・アニマル浜口と共に注目を浴び、マスコミに追いかけられ、大きな期待の中、プレッシャーをはねのけ、実に立派な戦いぶりであった。

 女子4選手とも礼儀正しく全てを好感を持って評価された。マスコミに求められるコメントにも、聞く人達を納得させる彼女たちの頭の良さと教養の高さを感じさせた。
 
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