赤石光生 アフガンの助っ人
 
 赤石光生氏がアフガニスタンに向けて出発しました。戦乱がまだくすぶっているアフガンに、赤石氏はレスリングのコーチとして、外務省から派遣されたのです。
 しかしここまで来るには色々なことがありました。アフガンはタリバン後独立国として、釜山アジア大会にレスリング選手団だけは派遣したいという意思表示を早くからしておりました。その為、もっとも信頼している国、日本にレスリングの指導者の派遣を外務省を通じて依頼してきました。これを仲介したのが外務政務官、松浪健四郎衆議院議員です。松浪氏は ご存じのようにレスリングの元チャンピオンで、かってカブール大学で教鞭を取ったこともあり、国会議員の中でもアフガン通として知られております。松浪氏の依頼を受けた福田富昭専務理事は、「これはPKOの一環で、自衛隊としても名誉なことであろう」と、防衛庁を通じて自衛隊体育学校からのコーチ派遣を要請しました。
 ところが、ところがです。役人とはどうにもならない人種です。取りあえず面倒なことはしたくない、よけいなことはしたくない、といった態度一点張りで、最後の断りの理由が「危険地帯への派遣は好ましくない」とのことでした。それで福田専務理事は怒ったのです。自衛隊が危険なところに行かなくて誰が行くのだ。危険なところに行くのが自衛隊の仕事ではないか、何のための自衛隊なのか、福田専務理事の怒りに防衛庁幹部はただ黙るだけ、松浪議員の指示にも頭だけ下げて、全く耳を貸さない役人根性丸出しでした。怒った福田専務理事は「よし、役人がやらないなら、民間でやってみせる」とジャパンビバレッジ社長に掛け合い、日本のエース、赤石光生氏の派遣を頼み込みました。始めは会社、赤石氏、ともに戸惑っておりましたが、これからの国アフガンに力を貸す意義を理解して、快く受諾してくれました。赤石の派遣が決まってから外務省の対応も又ひどいものでした。外務省が依頼しておきながら、万一の場合の責任はとりたくないという態度が見え見えで、私たちはお手伝いはしますが、それ以上はレスリング協会でお願いいたします。といった態度に終始しました。今回のことで日本の役所の体質が良く分かりました。
 今までやってきたことは、前例にしたがってしっかりやる。新しいことは極力手掛けない。責任を負わねばならぬ仕事は出来るだけ回避する。目立つようなことは決してするな。このようなことです。日本の役所は今まではそれなりに国家に貢献してきたのでしょう。しかし今日のような全ての常識が覆るような時代には制度疲労して対応できなくなってしまっているようです。役人は自らを省みて真剣に体質の改造をしなければ、これからの世の中の流れについて行けなくなるでしょう。
 
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