高校野球の暴力事件に思う

 駒大苫小牧高校野球部の暴力事件は私には全く理解できない。どうして生徒を指導するのに5回も10回も殴るのか。また、何で殴ったのか、暴力の理由が明らかなされていない。どう考えても指導ではなく、指導者の怒りの結果としか考えられない。抵抗しない相手を10回も殴る振る舞いは、指導者どころか、人間としても考えられない異常な行動である。
 今回の事件は一高校の問題ではなく、高校野球全体の問題なのではないか。野球部の部長の蛮行であったが、そもそも部長とはいかなる立場の人なのか、部長と監督とはどう違うのか、今回の場合はっきりしない。私の理解では部長は一教員であり、スポーツの専門家ではなく選手の指導は監督に任せ、学校を代表して諸事のパイプ役のような役であると思っている。スポーツ指導者で無抵抗の選手を10回も殴る人がいるなどということは私には考えられないことだ。
 私の卒業した中央大学レスリング部は私の在学した当時は、世界最強のレスリングチームであった。世界チャンビオン、全日本チャンピオンが沢山在籍し、その練習の厳しさは群を抜いていた。しかし、私は1年から4年まで一度も殴られたことはなく、また下級生を殴ったこともなかった。厳しい練習はレスリングを強くするためのもので、しごきのような事や危険な技を掛けるような場合は、先輩達が「やめろ」とすぐに止めに入った。練習はレスリングを強くするためのもので、無法な乱暴は許されなかった。文化部にすら存在した上級生からの使役もレスリング部は試合の前後だけに限られていた。
 最近は体育会系という言葉が良く聞かれる。つまり規律の中での先輩に絶対服従の関係を言っているようだが、私が過ごした中央大学レスリング部は世界最強であったが、暴力事件などなく、入学の推薦順位、試合の出場メンバーなど、キャプテンを中心に全てを学生か決める民主的な大学運動部であった。
 
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