高校生へ捧ぐ
 
始めに
レスリングは同じ体重の選手が、全く同じ条件で戦うのです。ですからそんなに差がつくはずがないのです。そのことをいつも心の根底に持つことから、レスリングの練習を始めましょう。 

練習の心構え
練習はつらいもの、これはどんな場合でも、誰でもが感じることです。ではなぜ君は、つらい練習に毎日を費やすのでしょうか。強くなりたいから、有名になりたいから、もちろんそれもあるでしょう。しかしそれだけではないはずです。そのほかに何かがあるでしょう。そうです、君はレスリングが好きなのです。自らを鍛え、人間として辛抱して、忍耐する生活が好きなのです。人間は心のどこかで辛い修行をして自分を磨いてみたいという気持ちを、持っているものなのです。強くなるためには、他の人と違った練習を常に考えましょう。同じ時間に同じ練習をしていたのでは差はつきません。人が休んでいるときこそ差がつくのです。スパーリングばかりが練習ではありません。筋肉トレーニング、ランニング、短距離ダッシュは非常に有効なレスリングの練習方法です。相手がふらふらになっても自分はまだ充分に体力があれば、技を掛けることなど簡単。相手を疲れさせるのも技のうちです。

毎日先輩に絞られる君に
 先輩からスパーリングを指名される前に、自分から先輩にスパーリングをお願いしましょう。どうせやらなくてはならない練習なら自分から先輩にお願いしましょう。その意気込みだけで30%力がアップします。特にはじめの3分間は全力で、先輩の攻撃に抵抗しましょう。そしてその日の自分の技のテーマを前もって考えておき、一回だけで良いから全力で、その技をかけましょう。技はかかってもかからなくても良いのです。もしその技がかかったら、その日一日満足感を得ることが出来るでしょう。そうしたことの積み重ねで力が付いてゆくのです。
 自分より弱い選手しかいないクラブの君には、練習相手がいないから強くなれない、というかもしれません。確かにそうでしょう。しかしほとんど部員のいないクラブからもチャンピオンは出ています。どんな弱い相手でも受けの練習はいけません。いろいろな場面を想定して、攻めのレスリングを身につけ、毎日の練習を続けましょう。そして、時々でよいから強い選手(大学生、他校のクラブにも積極的に出稽古すべし)に稽古をつけてもらうこと。OBにお願いして日曜日の練習も良い方法。その場合平日を1日休みにすること。週に1日以上休むことは重要です。

強い選手の練習を見る
強い選手の試合や練習を見ることは、大変有効な練習方法です。昔から見取り稽古といい、柔道でも剣道でもやってきた練習方法です。

休みを充分に取り他の競技も
これは選手より指導者に言うべき事かもしれませんが、休んだり他のスポーツをすることも重要です。休むことにより新たな意欲がわき、イメージトレーニングも進み、必ず良い結果が出ます。ちなみに米国のレスラーは、シーズン制を取っているので、年の半分しかレスリングをしていません。

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