世界選手権トルコ大会
 
 私が現役選手だった1950年代のトルコは世界最強のレスリング王国だった。小児麻痺で足を引きずりながら無敵のチャンピオンだったアクバッシュを始め、英雄アイク、アタライ、オーガン、全階級に世界チャンピオンクラスを擁していた。
 当時の日本レスリング協会八田会長はトルコに学ぼうと度々トルコに選手を派遣した。私も三度ほどトルコ遠征に加わったが、レスリングに熱狂するトルコ、武士道を感じるトルコ、日本人が大好きなトルコには感激し心底トルコが好きになったのである。
 当時の日本レスリングはグレコローマンスタイルがは普及して居らず、トルコからドガンコーチを招聘して東京オリンピックに向けて強化に取りかかったばかりだった。その後僅か二年後の東京オリンピックでグレコローマンスタイルで花原、市口の金メダリストを育て上げたことは驚異的なことであった。
 そのレスリング王国トルコ・イスタンブールで今年の世界選手権が開催される。六位までがロンドンオリンピックの出場資格が取得できる世界選手権である。一階級五十人以上の選手の参加が予想され、一日で六試合七試合は当然あるだろうし、一点を争う延長戦の連続だろう。勝ちをものにするには最後の最後まで諦めない、粘り強い、必勝の信念が必要だろう。この大会でメダルを取る事は容易の事ではない。オリンピックよりはるかに大変な激戦を勝ち抜く為に代表選手諸君、後一ヶ月命がけで練習に取り組んで貰いたい。

 
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