人間を倒す原理

以前にもこの欄で如何にしたら人は倒れるかを書いたが、再びタックルの原理、投げの原理について解説してみたい。
立ち技でホイントをゲットする技としては、タックル、投げ技、かぶり、の三つの技が主なものである。

タックル

タックルは両者が対面した形で相手を倒す技である。タックルの原理は対戦の動きの中で相手の足を瞬間に飛び込み掴む(この場合片足も両足もある)技である。対面した相手の足を掴みに行くのだから実に難しい技である。
足をつかみに行けば逃げるのは当然、まず考えなければならない事は、どの様にしたら相手の足が止まるのかを考える必要がある。
人間の動きを考えてみよう。人間は二本の足で立っているのである。片側の足が動いている時は、もう一方の軸足は動かない、動けないのである。ここがタックルの攻め所なのである。人間は二本の足で立っている。二本足のものは原理的には倒れるのである。ではなぜ人間は倒れないのか?体重を移動して歩むから倒れないのである。ここをまずタックルの原点と考えよう。片方の足が動いているときは体重の乗っているもう一方の足は動かない。ここが攻め所である。動きの中から相手の動けない足を作る。これがタックルの原点ある。

投げ技

レスリングは基本的に相手に背中を見せる技は正攻法ではない。投げ技は相手に背を向けてから投げ飛ばすのだから、危険をはらんだ攻撃技である。しかしゲットポイントは大きく失敗して相手に背後に廻られても攻撃が評価されてノーポイントとなる。日本レスリングはもっと投げ技を駆使すべきである。
投げの原理は色々人さまざまででここで書くのは難しいが次の機会に詳しく書いて見たい。何れにしても投げ技は相手の不意を突く強力な武器であり、タックルとの組み合わせで攻撃の幅が広がり、一流選手は必ず持たなければならない技だろう。

がぶり技

がぶりは守りから攻撃に転ずる技として用いられるが、ここでは積極的に相手を上から「がぶり」マットに引き落として、バックを取る、がぶり返しをする攻撃について考えてみる。
相手の頭をいきなり上からかぶることは脇が開き相手の反撃を受けやすいことが「がぶり」を積極的な技と考えない理由である。その為がぶりを積極的に技として練習している選手は少ない。
ここではただ単に相手をマットに引き落としなり、タックルの受けから「がぶり」に転ずるだけでなく、どんな体勢からでも相手を「がぶれる」攻撃技としてのがぶりを研究すべきであると提唱する。
これも次の機会に詳しく解説したい。タックル、投げと組み合わせて、いつでも相手を「かぶれる」技を会得すれば攻撃力は倍増する。
この三つ技とも原点は人間は二本の足で立っている。「体重を移動して歩まなければ人間は倒れる動物」を原理として、「タックル」は出来るか「投げ」は出来ない、右は出来るが左は出来ない、という諸君の潜在的な思いこみを打破し、新たな攻撃技力を広げる出発点として貰いたい。
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