才能の研究

 スポーツや芸術の世界では、ある人の持って生まれた能力について「才能」という言葉で論じられる。しかし、才能とはいかなるものかはっきりした定説はない。才能があるか無いかをどの様にして誰が選定するのかもはっきりしない。選手を指導しているその道に長い経験のある指導者が評価する例が一般的であるが、定まった定義などは無い。

 よく考えてみると実にいい加減な評価とも言える。レスリングにおける才能とは如何なるものか?肉体的能力としてすぐれた筋力、瞬発力、柔軟性、耐久力がよくその対象として論じられ、忍耐力、飽くなき努力、向上心等については才能として論じられることはあまりない。
 しかし、我慢する力、日々努力する力、常に前向きな向上心等は大変な才能である。結局のところ、現在は強い者が才能があるという結論になってしまう。
 才能があるのは強い者だけのものなのだろうか。勝てなかった選手には才能はないのだろうか。才能の云々が言われるのは、少年少女から高校生ぐらいまでが主であり、大学生や社会人に対しては才能について言われることはあまりない。しかし、20歳過ぎてから、希には30歳近くなってから才能が開花した例もある。
 ボクシングの世界チャンピオン輪島功一氏は25歳を過ぎてからボクシング初めて28歳で世界チャンピオンになり30歳を過ぎても王座を守った。彼が持っている才能は、並々ならぬ体力は勿論だが、たぐいまれなる努力と向上心だと言われている。
 少年少女選手の中には試合にはなかなか勝てないが、真面目に練習に励み、努力を重ねている選手達が大勢いる。全国の少年少女連盟の指導者達は、試合に勝てないが頑張る選手の才能を新たな視点で捕らえ、斬新な指導方法によって埋もれた才能を開花させようではありませんか。
 
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